パリトーン製造工場へ潜入 その2【潜入調査隊】

潜入調査隊

第二章パリトーン製造工場へ潜入 その2

 

焼成、自然冷却、原版選別

ぱりとん君
前回は熔融からザラメの製造、焼成の前迄説明したから、今回は最後まで一気に説明するね。

ボロンゴ
今度は最後まで頼むぞ。

ぱりとん君
了解です。
ザラメ状のガラスを耐火材でできた枠組みに集積して、連続炉、もしくはバッチ炉に入れて再加熱します。

ボロンゴ
何だね?その「連続炉」と「バッチ炉」とは?

ぱりとん君
熱処理を行う時に大きく分けると、「連続式」か「バッチ式」に分かれるんです。
「連続炉」はベルトコンベアーの様な物の上に製品を置いて、炉の中を通過しながら加熱する方法なんだ。
長い物だと100mを超える連続炉もあるくらいなんだ。結晶化ガラスは製造に非常に時間がかかり、この炉を通過するまでに、丸一日以上かかるんだ!

ボロンゴ
そんなに大きいサイズなのか!?

ぱりとん君
こんな感じです。

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ボロンゴ
う、うむ。
思ったより大きいな。

ぱりとん君
この炉の特徴は一種類の製品を大量に製造するのに適しているんだ。

ぱりとん君
続いて「バッチ炉」はこちら。

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ぱりとん君
こちらは多品種、少量生産向けだね。新色を作る時なんかは小回りの利くこちらの炉を使用するよ。

ボロンゴ
そう言った使い分けがあるんだな。

ぱりとん君
そうなんだ。そして基本的には炉の中で徐々に冷却を行い、原版の選別を行うよ。

ボロンゴ
選別?

ぱりとん君
どうしても焼き物なので、中にはうまく焼けない物も出てきてしまうからね。
不純物が入り込んでしまうと、色や、柄の大きさなどが不均一になってしまうから、それらを選別するんだ。

ボロンゴ
焼き物の宿命だな。

ぱりとん君
そうともいえるね。

 

 

ここで差が出る!研磨加工

ボロンゴ
む?このタイトルは?

ぱりとん君
結晶化ガラス建材って研磨の技術で製品の善し悪しが決まると言っても過言じゃないんですよ!

ボロンゴ
そうなのか?

ぱりとん君
もちろん不純物をいかに入らなくするかとか、色の調整なんかもあるけどね。それ以外にも製品の研磨技術は非常に大切な事なんだ。

ボロンゴ
艶の出し方の問題とかか?

ぱりとん君
いえいえ。艶は砥石の番手が高いもので磨けばある程度は出るんですが、そこじゃないんですよ!

ボロンゴ
そのあたりを詳しく教えてくれたまえ。

ぱりとん君
もちろんです。

ぱりとん君
まず表面の研磨する量ですが、0.5mm程度なんです。

ボロンゴ
え?それだけ?

ぱりとん君
そうなんですよ。それ以上研磨するとPSシリーズなんかでは気泡が表面に出てくる恐れもありますし、それで十分なんですね。表面に気泡がたくさんあると、そこに汚れ等がどうしても詰まってしまうので、その結果きたなく見えてしまうのであまりよろしくなんですよ。

ボロンゴ
では、その調整ができるかどうかが差がでるポイントなのかね?

ぱりとん君
もちろんそれ以外にもいくつかあるよ。
例えば平滑度つまり「いかに平らか?」の問題もあるんだ。

ボロンゴ
確かに艶があるから反射もするだろうしな。

ぱりとん君
そう。研磨状態があまりよくないと、反射した映像の歪みが大きんだ。

ボロンゴ
歪み?

ぱりとん君
例えば強化ガラスは、熱処理の影響で反射する映像は歪んでしまうんだけど、あの様なイメージです。

ボロンゴ
なるほど。他に研磨の事で教えてくれることはあるかな?

ぱりとん君
そうですね。パリトーンは通常7段階で研磨の砥石を変えていき、本磨きとしています。
もちろん水磨き程度にして、艶を抑え、防滑性能を上げる事もできますね。

ぱりとん君
自慢の研磨機はこちら。

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ぱりとん君
研磨の様子はこのようになっております。

 

検査・梱包・出荷

ぱりとん君
続いて検査方法だね。

ボロンゴ
ここも大事なところだからしっかり教えてくれたまえ。

ぱりとん君
お任せください。

ぱりとん君
ここでは研磨後の製品の表面状態の確認、切断加工後の寸法確認、板の反りの確認、白色度の確認等を行います。

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ボロンゴ
これは何をしているんだね?

ぱりとん君
これは装置を使用して「白さ」を測っているんだ。
色は単独で見た場合と、何かと比べた場合、他にも背景の色でで大きく印象の違いが出てしまうので、色によってはこの様に数値で管理をしています。

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ボロンゴ
これは?

ぱりとん君
こちらは隙間ゲージを用いて板の「反り」「ねじれ」を測っています。

ボロンゴ
うむ。出荷前の検査はおよそわかったぞ。

ボロンゴ
次は梱包だな。

ぱりとん君
はい。寸法書や、加工依頼書に応じた番号をわかりやすいところにラベルなどで明記します。

ボロンゴ
これが無いと工事現場で大変な事になってしまうからな。

ぱりとん君
そうなんですよ。その後粘着性の無い緩衝材を使用して、板同士で傷が付かないように丁寧に梱包していきます。

ボロンゴ
なんだその「粘着性の無い緩衝材」ってのは?

ぱりとん君
よくサランラップみたいな表面を保護する梱包材があるのですが、
製品の平滑度が高い為、粘着質との相性が良すぎて現場で剥がすのが大変というお声から、粘着性の無い緩衝材に切り替えたんですよ。

ボロンゴ
ガラスにガムテープを貼ってしまうと剥がすのが大変と同じことだな。

ぱりとん君
そうです。
以前お手伝いした事あるんですが、真夏の炎天下の中で剥がれにくいシールを剥がそうとすると・・・非常にストレスですからね。
また真冬もこれまた辛いので・・・

ボロンゴ
それで粘着性の無い緩衝材ってわけだな。

ぱりとん君
施工して頂く方へのストレスも極力軽減したいですからね。

ぱりとん君
続いて出荷ですが、基本木箱に入れます。
一つの貨物を2T以下にすることで、国内に入ってきた際に、2Tフォークで動かせる重さにしています。

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ボロンゴ
それでも2Tか・・・

ぱりとん君
ガラスですので比重が2.7ありますからね。板厚は製品によって異なりますが、仮に18mmとすると、1㎡で48.6kgありますから、2T以下にする場合、㎡数換算しますとですと42㎡弱。
木枠の重さを入れると、40㎡弱がMAXですかね。

ぱりとん君
これらを基本的には船便で、各港に入り、お客様へお届けしております。もちろん飛行機で運ぶこともできますので、短納期の場合にはお申し付けください。

ボロンゴ
ん?

ぱりとん君
あ、ボロンゴさんには言ってないので気になさらないでください。

ボロンゴ
そ、そうか。

ぱりとん君
はいはい。落ち込んでないで!次は国内の加工工場、施工現場にも案内しますから

ボロンゴ
う、うむ。楽しみにしておるぞ。