プレキャストコンクリート工事でパリトーン【潜入調査隊】

潜入調査隊

第八章 プレキャスト・コンクリート(Pac・PC)用のシアコネクター引抜試験

 

パリトーンをPca・PCで使いたい

ボロンゴ
今回はシアコネクター引抜試験に潜入だ。

ぱりとん君
シアコネクターって?

博士
カンタンに言うと、異なる部材を接合する金具じゃな。

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ぱりとん君
どんな時に必要なの?

ボロンゴ
今回はプレキャストコンクリート(PCa)工事で使用する為の検査だな。

博士
先行して意匠材・仕上げ材を貼り付る場合に、躯体から剥離しないように裏面にシアコネクターを取り付けるんじゃ。

ぱりとん君
それが今回はパリトーンで行うってことだね。

ぱりとん君
でも・・・なんかメリットあるの?フツーの取り付けでいいじゃん。

博士
この工法のメリットとして、現場でコンクリートを打つ手間が省けるので、計画的が立てやすい事じゃな。
また仕上げ材を先行して取り付け、完成品を現場に運ぶため、現場では組み立てるだけなので工期の短縮にもつながる。

ぱりとん君
メリットが多いんだね。
それで今回はどうやって試験するの?

ボロンゴ
試験方法は、日本建築学会「建築工事標準仕様書・同解説JASS9張り石工事」のJASS9T202-2009に則り行うぞ。

ぱりとん君
よろしくお願いします。

 

建材試験センターへ潜入

ボロンゴ
シアコネクターはこのように埋め込み。

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ボロンゴ
複数用意。

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博士
早速実験開始じゃ

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ボロンゴ
このような治具を用いて結晶化ガラスを固定した後、連続的に引張力を加える。

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博士
この時の載荷速度は1mm/minで行い、破壊されるまで続けたんじゃ。

ボロンゴ
実験の様子を4倍速でご用意しているので実際に見てもらいたい。

ぱりとん君
え?4倍速?

博士
実際は5分間くらいあるんじゃが、かなりゆっくりな変化なのでここでは4倍速で公開じゃ。


ぱりとん君
4倍速でこの変化はずいぶんゆっくりですね

博士
結果だけみればこうじゃな。

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ボロンゴ
コネクターの右側が僅かに変化していることが確認できると思う。
破壊まで達したら最大荷重を記録し、結晶化ガラスを治具から取り出し目視で確認。


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ぱりとん君
それでこの結果でどうするの?

博士
この結果に準じて、使用する板の大きさ及び、外力の計算を行い適切なコネクター数を定めるじゃ。

ぱりとん君
外力って?

博士
建物の所在地及び規模からの耐風圧、及び地震時の水平力じゃな。

博士
天然石の場合25-30mmが一般的である為、状況に応じてパリトーンの板厚を増やし、コネクターを深く差して強度を増す事も可能じゃ。

ぱりとん君
通常の18mmだとだめなの?

博士
今回の試験はJASS9に則る為、表面から10mm以内には穴をあけないように深さを定めてある。
その為、板が厚いほど穴を深く掘れるじゃろ?

ぱりとん君
そうですね。

博士
穴を深く掘れれば、コネクターの引っ掛かりを長くできるメリットがあるんじゃ。

ボロンゴ
もちろん厚くすれば、当然重量の問題も出てくるので、厚ければよいという訳ではない事に注意。
吸水性が無い結晶化ガラスのメリットを鑑みて厚みを検証するのも一つの手ですな。

ぱりとん君
じゃあ使用する現場の環境、規模によって取り付けるシアコネクターの数、場所、深さなどを総合的に考える必要があるんだね。

博士
そういう事じゃ

 

試験結果報告

ボロンゴ
正式な報告書はこちらだ。

結晶化ガラスに取り付けたシアコネクターの固定耐力試験 試験報告書

ぱりとん君
パリトーンをPC工法で施工した例は下の写真からご覧ください。

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博士
上記施工例と本実験と詳細は異なります。ご注意ください。